領域の〆 forget-me-not

もし、また貴女に軍配が上がりそうというなら、存分にやればいい。

海は遠く、そのうちには干上がってしまう。傍観するだけ、っていうのは嫌だろう。私は動けず、死んでいくのをただただ感じてくしかない。

貴女は私と違って動けるのだから、海から抗って、飲み込まれず、新しい生息環境を探せばいい。私がこんなことを言わずとも、貴女は移動していくでしょう。

それなら、最後に1つわがままを。抗えないといっても、本当は貴女に言われたくなかった。誰よりも分かってなかった、全て投げていた、すでに海と同化していると思ってた。そんな愚かさを、認めてはくれまいか。言ったことを呪おうかとも思ったけど、それは違うような気がした。逃げ遅れてた、それだけのことだった。どうでもいいことを、感覚を覚えてくれたらな、それがわがままだけれども、強く願う。

歪んでる世界と物語だけど、今までそのままで、ようやく変わろうとしている。守りたかったものはお腹の中へ入っていってしまった。どうしようもなかった。貴女と利害が一致するなら、それでよいと思ってた。でも、違った。もうやり直せないの。

ー彼女は日陰者、不仕合せで、無茶苦茶にしてやりたい。

ー本当に望んでるの?

ー喧嘩できるって言ってたよ、

ーもう、今日でもいいんじゃない?

違うと主張しても、同一人物にしか見えない。領域世界でも変身することはできなかった。「責任を各自取りましょう」どこかのアナウンス。ポイント制にでもすればいいのに。楽園を守るために、取引をすれば良かった。そんな機会はもう残されてない。「頑張りましょう」気持ちの篭ってない応援。自己への厳しさも大切ですって、鞭を打つ。あの人が何かしてくれるなんて、そういう期待もできない。終わりの隙間。

主人公争いに負けた。あの人の取り柄はない、そして私も。どちらがなってもどうでも良かった。特定性は必要ない。創造主もいない、権限もない。

 

ー日陰者は日陰の中に、陽のための存在に。愛される脇役にすらなれない。

領域は壊れます、保てるだけの人材も、物語も失われてしまった。これ以上続かない。忘れないための〆の文を書く。そんな行為に意味を求めたい。よくあるパターンとして、「意味などない」って逃げる。壊すときくらいいいじゃないか、そんな些細な責任くらい持てばいい。誰も興味などない。

 

ー強姦されそうになる夢を見ました、相手は知らない人でした。逃げてはいたけど、どこかで襲われてもいいかもって思ってました。

変化を恐れるというのは、人生を信じていないからだと聞いたことがあります。本当にそうなんでしょうか? 信用するというのはどういうことなんでしょうか。彼女には分からないでしょう。彼女と手を取り合った文もこれ以上進むのは難しく、特定の誰かの文章になってしまった。誰でもない、複数の手ではなくなってしまった。こんなの領域じゃない、そのまま保っても違う。何も信じることなどしないが、私は領域を壊す。今度は意味を求め。

ー私を忘れないで

ーきっと忘れるだろう