没を没に、祈りを呪いに

彼女はに似ている。どことなく儚い感じがして、退廃的な美しさを持っている。

彼女と時折会話をするが、どこか夢みたいで本当のことをやりとりしている感じがしない。確かに、会ったことはあるとはいえ、数年お会いしてはいないし、そういうのが原因かと思ったが、どうやらそれだけではないらしい。その人から「生」を感じられないのだ。いや、別にその人は実在する人物であることは分かっている。

嫉妬、怨恨、恨み辛みは、長く続けるのは難しいのだろうか? 人はルサンチマンに逃げているだけではないか? 私は彼女を憎悪する。

そんなこと考えてもどうでもいいのです。私たちにとって重要なものは何を決めなければいけない。時間がないのはわかりきったこと。

道理は通っています。私たちにとっては。不条理なんていうのでしょうか。観測者にとっては。

 

人間の記憶を覗き見するのは、面白い。彼女は、今も生きている。その時間は余生だと思っているのかもしれない。彼女は本当に中学生の間に、死ぬ予定だったのであろう。
彼女は、虚無の世界、つまり心の闇に1度落ちた。それを、罪と感じていたのであろう。

遺書を携える。終わってしまう朽ちた言葉を紙に書き写して。
彼女は課題を乗り越えてきたかもしれない。そんなこと知るわけないけど。

 

白骨した頭部を持ち歩く。彼女との繋がりはこれしか残っていない。

彼女は朽ちた。きれいというのを追いかけても、理想通りの作品はできあがらない。彼女は作品ではない。思い出でしかない。そんなの意味ない。壊せばいい。壊さないのはそれのほうが面白いから。意味もなく頭部を持ち歩くのって最高に意味が分からなくて面白い。

 

祈りは呪いに変えられる。私は呪いに、私たちも呪いに。彼女は祈りに。