夏に送り出す

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 真面目に物事に向き合うことは疲れる。適度に不真面目を作り出し、距離を取る。本当にできないのか、やらないだけなのか境が見えなくなって。それくらいが丁度良いような感覚。

 雨が続く日々、自然災害で大変なことになっている地方もあって。なんの力もない民間人は各自勝手に祈るか、然るべき機関に募金するくらいしかできることはない。事実であるから変わりようがないけど少し目を逸らしたくもなって、電子のページをめくることを辞める。 

  個人的なことを追求してみる、何度か見たことある話を追想する様に新しい話を重ねようとする。似ていないところもあるはずだが、近付けるように話を描いてしまう。近付ければ近付く程、苦い思いをするだけだ。新しい話に流れるように相違点を探す。

 話を見るようになったのはいつ頃か、明確な時期ははっきりと思い返すことができる。しかし、それが人生最悪だったかといえばそうでもない。

もっと最悪なことは逆にうまく話にすることができない。選択によって生まれた結果ではないし、物事をよく知らなすぎた。たくさんの雑多な事象を知り尽くしていれば偉いと思っていたが、そうでもなかったし、先に起こることを統計的にある程度正しいと思って予想して当てたところで立場が上がる訳でもなかった。挙句の果てには、雑多で箱の中で教えられないことを多く知っていても意味がないと言う人まで現れた。これが最も最悪な体験だと思っているが、これを話にすることも昇華することもできない。ただ最悪だったと思いつつ似たようなことが起きないように立ち回ることしかしないだろう。

話が逸れた、話を見るようになったきっかけ。最初は全て嘘から始まっている。人は大体一度や二度は存在しないものやあり得ない力に憧れを持つ。例に漏れず憧れがあった時、嘘を生み出した。嘘も信じ込ませればいつかは本当になる、と言う確信があったし、バーナム効果で近くよればそれらしくなると思っていた。結果、それ以前よりは話が強化されたし、それに守られていると感じるようにもなった。便利な筋を手に入れたと思った。

簡単に嘘で楽になれたら誰も困らない。副作用というものはあった。少しでも誤れば排斥される側になるということを知った。綱渡りをしているみたいだ、話を考えるのは得意ではあったけれど、強いられると少し辛い。落ちないように踏ん張って。

危険なものが多いと感じるようになった、「怖い」は口には出さないけどすぐに出るようになって。怖くないようの話を固めて、遠目に眺めて。

そうするうちに、ものを分割しないと見れないようになってしまった。無効化することはできるにはできるが、外部に委ねられるものになった。委ねてしまえるような存在は怖くはなかったが、それらを親のように思ってしまう癖が生まれた。危険なものが多すぎるから、委ねられるものには完全に気を許して。それによって楽にはなれたが厄介なことはよく起きた。簡単に電子で説明できるような事象ではないが、真剣に考えないと解決できないようなことばかりで。ここでも少しでも誤れば排斥される側になってしまうという確証はあったから、毎度うまく話を見て、考えることとなった。疲れないように話を見るようになったはずなのにこれでは逆効果で。全てを解決させる方法はあるにはあるが、それに手を出すかというと、きっと手を出さないだろう。それの方が世のためかもしれないが、それをするくらいなら労働力であることも、生物であることも拒否するつもりだ。

 なんて長々と書いた話はきっと作り物で嘘だろう。彼や彼女の言う話は正しくないし、街が示すこともその場凌ぎの案だ。書き言葉になり、遠ざかるものもある。本当のことは何一つ言えない、狭い電子の中では。

 今日くらいはよい話を見たいものだ。夏には火遊びがつきものって、誰かは語っていた。嘘の話においても預けることは危険であり、誰かが勝手に語った話なんて本当は気にする必要ないけど、悪くないような気がして。その話の近くだったら、なんて淡い線を夢見て。いやボロ雑巾を売る仕事でしかなくて。

 「街に星があるままだったら素敵ですね」