再掲 読書メモ 2021.4.

・あさのあつこ 「no.6 #1〜9 beyond」

10年程前に読んだことがあったが、ほぼストーリーを覚えていなかったし、最終巻まで読んだか記憶が曖昧だったので読んだ。知らない間にアニメ化もされていた。

当時、単行本で読んだが、今回は文庫版で読んだ。ずいぶんイメージが変わっていて同じ内容でも本の形や形態によって印象変わるなあと思った。

単行本の時は、たまに写真が挿入されていて、特に目のカットは非常に格好良いなと思っていた。しかし、文庫版は文字のみになっていて少し悲しかった。そのかわり、本の冒頭にno.6の地図がイラスト化されていたが、前の写真カットの方が格好良かった。街のイメージはつき易くなったけれど。(アニメ化の関係か?)

物語としては少年同士の熱い友情、手に汗握る展開で次へ次へとページを捲りたくなるような感じがあって良かった。(1週間もかからずに全巻読破してしまったし。当時リアルタイムで追っていた人は続きが気になっただろうなあ)

10年前に読んだ時は、当時憧れだった人がこの作品を紹介してくれて手に取った。結局、当時は読み切れなかったし、彼女と本の話をすることもなかった。憧れの人というのはいわゆる腐女子というものであり、紹介した理由を推測できた。この作品は見方のよってはBLとして読むこともできて、そういう方向性で読んでいたのか? と。私は当時も今も純愛ものだなと思ったが。実際どう考えていたかは分からないが。

彼女と多くの話を毎週末、高架橋の下の集まってしたというのに具体的な内容は何一つ覚えていない。しかし、感覚的に話を覚えていて、その感覚が鮮やかに読書中に戻ってきた。当時の話なんて積極的には話したくはないが、本のストーリーと共になんとなく感じられるレベルであれば懐かしくて丁度良いかなと思った。(ここでいうあまり思い返したくない話というのはティーンエイジャーの拗れ話だと思って頂ければ)

 

・金原ひとみ 「パリの砂漠、東京の蜃気楼」

彼女の作品を読むのは4作目であるが、日記的な文章も読ませる人だなと思った。初めて手に取った作品はデビュー作「蛇にピアス」だ。高校生の時何気なく手に取ったが、なんてことを書く作家なんだ、と思った。面白くはあるが、なんか嫌でしばらく距離を取っていた。しかし、また読みたくなって「アッシュベイビー」と比較的近作である「クラウドガール」を最近読んだ。過激な作風は若さ故か、と思ってみたがそうでもないなと。何にも解決しないのは変わりないが、近作の方が文として読ませてきて良い。

私は彼女の作品が好きだ。綱渡り的な感覚、救いようもない展開、目まぐるしく動く感情。よく書けるなあと思う。ぶんぶん振り回されるような感覚に陥り、かといって読後感が良いわけでもない。しかし、また読みたいと思わされる。中々だなと。なんというか目が離せない感じがするのだ。おそらく他の作品も読むことになりそうだ。